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管理薬剤師向けマネジメント研修④|実践トレーニング②

前回の記事では、インバスケット演習について紹介しました。

今回は、それを薬局の現場に当てはめて、実践形式でやってみましょう。

あなたの役割は、架空の薬局の薬局長(管理薬剤師)です。

今から30分以内に5つの案件を処理してもらいます。

ただし、案件を処理する際にはちょっとした制約があります。

この演習では、

・上司に相談する
・他店舗に頼る
・予定をキャンセルする
・残業でなんとかする

…といった『とりあえず楽な解決策』はNGです。

なぜかというと、これは限られた時間とリソースの中で、最善の判断をする力を鍛えるトレーニングだからです。

管理薬剤師として求められるのは、

・自分の役割を理解すること
・与えられた権限を正しく使うこと
・目の前の判断が、どう成果につながるかを意識すること

インバスケット演習は、単なる知識チェックではありません。

普段の業務ではつい流してしまいがちな『思考力』や『判断力』をしっかり鍛えるためのものです。

実際にやってみた人からは、

仕事の進め方がスムーズになった!

今まで気づかなかった視点を得られた!

といった声が上がっています。

まずは、演習を行う際の3つのルール(注意点)と案件対応の5つのポイントを確認しましょう。

それを押さえたうえで、実際の演習に入っていきます。

では始めていきましょう!

※『インバスケット演習って、イマイチまだよく分からない…』という方は、前回の記事をチェックしてみてくださいね。

インバスケット演習を行う際の3つのルール

インバスケット演習をやるときに、これだけは押さえておきたい3つのルール(注意点)があります。

あらかじめ押さえておくことで、演習の手応えや効果が大きく変わります。

指示を出す相手を明確にする

誰に何を頼むのか、誰と連絡を取るのかを明確にしましょう。

ここが曖昧だと、伝えたつもりが伝わらず、結局自分がバタバタ対応する羽目になります。

普段の業務でも、『誰にどう動いてもらうか』を考えるのは大事なスキルです。

相手の役割を確認しながら、スムーズに進めましょう。

自分の仕事と部下の仕事を分ける

『全部自分でやる』も『全部部下に任せる』も、どちらもNGです。

管理薬剤師として大事なのは、自分がやるべきことと、部下に任せることをバランスよく整理することです。

効率よく仕事を回すためにも、『これは任せられる』『ここは自分が判断すべき』と見極めながら進めましょう。

設定された条件を守る

演習では、『休日の入れ替え』や『予定の変更』など、現実ならできる調整が一切できません。

これは、『与えられた条件の中で最善の判断をする力を鍛える』ためです。

実際の業務でも、『理想の条件がそろうことなんてほぼない』と思っておいた方がいいですよね。

そんな中でベストな判断をする力をつける、そういう視点で演習に取り組んでみてください。

以上、インバスケット演習を進めるうえで大切な3つのルール(注意点)を紹介しました。

この3つを意識するだけで、演習の手応えが変わり、より実践的な学びが得られるはずです。

普段の業務にも役立つので、ぜひ試してみてください。

インバスケット案件対応の5つのポイント

インバスケット演習をやる前に、どんなことを意識して取り組むべきか、5つのポイントを紹介します。

これを押さえておけば、演習の効果がグッと上がります。

全体を見て考える

目の前の案件だけに気を取られず、薬局全体の流れや状況を意識しましょう。

個別の問題をその場で解決するだけではなく、全体のバランスを考えながら動くのが大事です。

案件同士のつながりを考える

一つひとつの案件をバラバラに処理するのではなく、関連性を意識しましょう。

『これとこれ、実はつながってるな』と気づけると、よりスムーズに対応できます。

優先順位をしっかり決める

時間がない中で案件を処理するときは、優先順位をしっかりつけるのがポイントです。

まずは『急ぎで重要なもの』から手をつけて、時間が足りなければ後回しにできるものは後回し にしましょう。

全部に手をつけようとすると、どれも中途半端になってしまいます。

判断基準はシンプルに『緊急性』と『重要性』です。

『すぐ対応しないと影響が出るか?』『多少遅れても大丈夫か?』を冷静に考えると、やるべきことが見えてきます。

明確で具体的な指示を出す

実際にその場にいるかのように、どう対応するかを細かく書き出してみましょう。

頭の中で考えるだけでなく、具体的に書いてみることで、より実践的に問題を解決できるようになります。

特に『誰に』『どうやって伝えるか』は重要です。

5W1H(誰が・何を・どこで・いつ・なぜ・どのように)を意識して、誰が読んでも分かるような指示にすると、指示ミスや勘違いが減って仕事がスムーズになります。

根本的な課題解決も意識する

『とりあえず今の問題を片付ける』だけではなく、『なぜこの問題が起きたのか?』まで掘り下げましょう。

根本的な原因を見つけて改善しないと、また同じ問題が発生してしまいます。

この5つのポイントを意識して取り組めば、実践で役立つスキルがしっかり身につきます。

インバスケット演習(実例)

これから30分間、あなたは『ケンコー薬局・新大阪店』の薬局長として業務を行っていただきます。

あなたの役割は以下の通りです。

この設定は変更できませんので、そのまま進めてください。

インバスケット状況設定内容

あなたのプロフィール

氏名:山田太郎
経歴:5年前にケンコー薬局に入社し、中津店で勤務。その後、東三国店で副薬局長を経験し、2月16日から新大阪店の薬局長に昇進。

現在の状況

今日は2月19日。

東三国店での引継ぎ業務を終え、新大阪店に戻ってきました。

現在の時刻は18時30分で閉局時間の19時まであとわずかです。

さらに、今日はテナントビルの合同清掃のため、19時ちょうどに店舗を業者に引き渡す必要があります。

つまり、あなたが薬局長として動けるのは、あと30分だけです。

加えて、この後、叔母のお通夜に向かい、明日から1週間の新婚旅行に出発します。

今、薬局にいるメンバー

薬剤師:吉田さん(入社1年目)→遅番で調剤業務中
医療事務:高橋さん(入社3ヶ月)
パート薬剤師:大久保さん
※副薬局長の佐藤さんは、本日午後から本部で研修のため不在

あなたのミッション

これから5つの案件をできるだけ処理していきます。

大切なのは、あなたが『どう対応するつもりか』を関係者全員にしっかりと文章で伝えることです。

それによって、スムーズに対応を進めることができます。

そのためには、メモや指示書を作成して、関係者にその内容をしっかり伝えることが必要です。

また、自分自身もメモを取ることが大切です。

これはただ問題を『解決する』ことだけを求めているわけではありません。

あなたの判断や指示、対応、行動をすべて『文章』で示していくことが求められます。

では、薬局長・山田太郎として30分間、5つの案件に取り組んでください。

5つの案件

これからインバスケット演習を始めます。

目の前には、連絡ノートに書かれた5つの案件があります。

あなたの役割は、薬局長としてこれらの案件を30分以内に処理することです。

限られた時間の中で、どんな判断をし、どんな指示を出すべきかを考えながら、さっそく取り組んでいきましょう。

案件①

佐藤副薬局長へ

2月19日(月)

最近、監査業務をしていて気付いたのですが、実際のお薬と薬情の写真が違うケースがあります。

修正した方が良いと思います。

大久保

案件②

佐藤副薬局長へ

2月19日(月)

最近、患者様にお渡しするお薬に不足が生じることが時々あります。

もう少し在庫に余裕を持たせることができないでしょうか?

佐々木

案件③

薬局長へ

本日(2月19日)、患者様から電話がありました件について報告します。

調剤事故で、内容は『アスベリンドライシロップ』をお渡しするところ、『アスベリン散』をお渡しした。

処方の5倍量のお薬を服用しており、患者様からは『子供がぐったりしているので病院に行く』とのことでした。

すぐに処方元のドクターに報告と謝罪を行ないました。

その後、患者様に電話をしたところ、命に別状はなかったとのことでした。

深くお詫びをしておきました。

佐藤

案件④

佐藤副薬局長へ

2月19日(月)

最近、自動分包機の調子が悪いです。

分包機は動いてはいるのですが、時々分包紙にしわが入いる時があり、非常に見栄えが悪い状態です。

私の入れ替え方に問題があるのでしょうか?

高橋

案件⑤

高橋さんへ

別添:医療事務研修の案内が来ています。

出席する予定でシフト調整します。

都合が付かない用事があれば至急に連絡してください。

佐藤

以上が、今回の5つの案件です。

次回は、これらの案件にどう対応するかについて解説していきます。

まとめ

今回は薬局の現場で行うインバスケット演習について紹介しました。

この演習では、限られた時間とリソースの中で、実際の業務に直面した時にどれだけ対応できるかがポイントです。

特に、業務の優先順位をしっかり見極め、的確に指示を出し、チームで効率よく進めることが大事です。

次回は、今回紹介した5つの案件についてどう対応するかを詳しく解説します。

具体的な対応方法を一緒に考えながら、実践的なスキルをしっかり身につけていきましょう。

今すぐにでも実践してみようと思える内容ですので、ぜひ次回もお楽しみに!