忙しい毎日の中で、こんなことを感じたことはありませんか?

一生懸命説明しているのに、患者さんが納得しているか自信が持てない…

もっと信頼関係を築きたいけれど、どうしたらいいのかわからない…
近年、薬剤師の役割は『対物』から『対人』へと大きく変わりつつあります。
患者さんとのコミュニケーションがこれまで以上に求められる時代です。
でも、日々の忙しさに追われて、じっくり振り返る余裕がない…そんな方も多いのではないでしょうか?
この記事では、薬剤師として欠かせない『知識』『技能』『姿勢』のバランスについて考えます。
そして今回は特に、患者さんや同僚との関係を築くために大切な『姿勢』にフォーカスします。
『どうすれば患者さんとの信頼関係を深められるのか?』
『あなたの誠実さや人柄をどう伝えたらいいのか?』
そんな疑問に答えるため、この記事では すぐに仕事で実践できる具体的なアドバイスをお届けします。
ぜひ最後までお読みいただき、日々の業務に役立ててくださいね。
目次
患者さんは『言葉』よりも『姿勢』を見ている
薬剤師として現場で働いていると、患者さんから『知識』を求められる場面が多くありますよね。
質問を受けた際、まずは正確に答えることが薬剤師としての腕の見せどころです。
ですが、患者さんが本当に信頼し、『この薬剤師さんから服薬指導を受けたい』と思うのは、知識だけではありません。
大切なのは、あなたの『姿勢』や『態度』です。
例えば、私が薬局で薬を受け取る際、あえて自分が薬剤師であることを隠して説明を受けることがあります。
そこで出会う薬剤師さんには、こんなタイプがいます。
- Aさん:全身を向けて丁寧に話す
- Bさん:顔だけ向けて説明する
- Cさん:医薬品や書類に視線を落としたまま耳だけで対応する
あなたが説明を受ける立場なら、どの薬剤師さんを選びたいと思いますか?
多くの人がAさんを選ぶはずです。
言葉だけでなく、体全体で患者さんに向き合うこと。
それが信頼感を生む大切なポイントです。
つまり、これからの薬剤師には『知識』に加え、コミュニケーション力や雰囲気を作る力といった『技能』、そして患者さんにどう向き合うかという『姿勢』や『態度』がますます重要になってきます。
患者さんが『知識』を求めて質問してくることは確かです。
ですが、本当に信頼を得るのは、あなたがどれだけ真摯に相手と向き合い、コミュニケーションを取れているかにかかっています。
あなたの服薬指導は、どんな印象を与えていますか?
患者さんと向き合う姿勢を改善するための3つのポイント
患者さんとの信頼関係を築くには、まずコミュニケーション力を高めることが欠かせません。
その中でも、特に大切な要素が『姿勢』です。
相手への向き合い方や態度は、時に言葉以上に強い信頼感を生み出します。
この記事では、すぐに実践できる3つのポイントを通じて、『姿勢』を改善する方法をご紹介します。
そして、姿勢を変えることで、患者さんとの信頼関係がどのように深まるのか、一緒に考えていきましょう。
また、通常こういったトレーニングはペアで行うことが一般的ですが、今回は一人で取り組める方法をお伝えします。
日常の中で自分の姿勢を見直し、少しずつ改善していくきっかけにしてみてください。
鏡を使って姿勢をチェック
患者さんに信頼感を与えるには、言葉だけでなく、体全体でしっかり向き合うことが大切です。
体を正面に向けて目線を合わせることで、『自分のことを真剣に見てくれている』と感じてもらえます。
首や目だけで反応してしまっていませんか?
相手の話に耳を傾けるときは、全身で向き合うことを意識してみましょう。
- 鏡の前に立つ
患者さんと話している場面を思い浮かべながら、体や顔を相手に向ける姿勢をとります。 - 目線を意識する
自然な目線で相手を見つめているか、鏡で確認しましょう。 - 安心感を与える姿勢を調整
全身がリラックスしながらも誠実に向き合っている姿勢になっているかチェックします。
このトレーニングを日々繰り返すことで、自然に相手に信頼感を与える姿勢が身につきます。
自然なリラックス姿勢を身につける
誠実さを伝えるには、無理に笑顔を作る必要はありません。
大切なのは、自然でリラックスした姿勢です。
背筋を伸ばしつつ、肩の力を抜き、落ち着いて話すことを心がけましょう。
そうすることで、相手に安心感と信頼感を与えることができます。
- 深呼吸で力を抜く
立ったり座ったりする前に、深呼吸をして体全体の力を抜きましょう。 - 姿勢を鏡でチェック
鏡の前で、自分の姿勢を確認します。背筋は伸びていますか?肩に力が入っていませんか? - リラックス状態を意識する
普段から肩や体の緊張を意識的にほぐし、自然な立ち方・座り方を練習します。
仕事中もこの姿勢を意識することで、より誠実さが伝わる接し方ができるようになります。
患者さんに寄り添う姿勢を身につける
患者さんの不安や疑問に寄り添い、その立場で考えて接することが、信頼関係を築く大きな鍵です。
相手の気持ちに共感し、その立場に立って答えることで、安心感と信頼感をより深めることができます。
- 患者さんの不安を想像する
例えば、薬の副作用が心配な患者さんを思い浮かべてください。その立場になりきり、「自分ならどんな説明があれば安心できるだろう?」と考えます。 - 自問自答してみる
「どうすればこの患者さんの気持ちを理解し、安心してもらえるだろうか?」と自分に問いかけ、解決策を考えてみましょう。 - 実際に声に出して練習する
想定したシチュエーションでの対応を声に出して練習します。患者さんに寄り添った言葉を意識しながら、自然に伝えられるよう繰り返しましょう。
このトレーニングを日常的に行うことで、患者さんの気持ちをより深く理解し、信頼を得る姿勢を磨いていけます。
例えば、薬剤師がよく使う「お大事に」という言葉。
普段何気なく言っているこの一言も、今回紹介した3つの姿勢を意識して伝えることで、相手に与える印象が大きく変わります。
反射的に言うのではなく、患者さん一人一人に向き合う姿勢を持つことで、より心のこもった言葉になります。
患者さんとの信頼関係を築くためには、言葉の裏にある『姿勢』が最も大切です。
そのことを意識して、日々の業務に活かしていきましょう。
かかりつけ薬剤師としての姿勢を見直そう
『かかりつけ薬剤師』という役割が調剤報酬に組み込まれ、薬剤師の業務はこれまで以上に『対人業務』へとシフトしています。
その中で、薬剤師が『自分の患者さん』を持つことが、ますます重要になっています。
さて、あなたには『この人は私の患者さん』と胸を張って言える方がいますか?
例えば、こんな患者さんです。
- 『あなたを全面的に信頼しています』と感じさせてくれる患者さん
- 『本当にありがとう』と心から感謝してくれる患者さん
- 『あなたのおかげで健康を維持できている』と言ってくれる患者さん
もし、すでにこういった患者さんが何人かいるのであれば、この先の内容に『確かにその通りだ』と納得できるでしょう。
一方で、薬剤師として3年以上の経験があるにも関わらず、『自分にはそんな患者さんはいないかもしれない』と感じる方もいるかもしれません。
その場合、自分自身の姿勢に課題があるかもしれません。
自分の姿勢を振り返ってみよう
患者さんとの向き合い方を振り返ると、さまざまな姿勢が見えてきます。
例えば、次のように自己評価する方がいるかもしれません。

興味を持った患者さんには真剣に向き合うけど、他の患者さんにはつい流れ作業のようになってしまう…
一方で、こんな受け止め方をする方もいるでしょう。

患者さんもいろいろなタイプがいますし、現場は忙しいのでじっくり対応する余裕はない…
前者のように、自分の行動を真剣に振り返る姿勢を持つ人は、課題を自分ごととして捉えていると言えます。
しかし、後者のようにどこか他人事として状況を語る人は、普段から『課題を自分ごととして考える習慣』が身についていない可能性があります。
そのような習慣が積み重なると、やがて『会社が悪い』『上司が悪い』『社会が悪い』といった他責思考が染みついてしまうかもしれません。
姿勢が信頼関係をつくる
『自分の姿勢をどれだけ真剣に見つめ直せるか』
それが、患者さんとの関係に大きく影響します。
患者さんは、薬剤師の姿勢を非常に敏感に感じ取ります。
だからこそ、まずは自分の内面に向き合い、患者さんに対する自分の向き合い方を改善することが大切です。
自分の姿勢を見直し、一人ひとりの患者さんに丁寧に向き合うことで、信頼関係は深まります。
そして、患者さんに安心感を与えることができるようになります。
その結果、あなたを信頼してくれる患者さんが増え、『この人は私の患者さんだ』と実感できるようになるはずです。
自分ごととして捉える習慣を身につける
目の前で起こる出来事を『自分ごと』として捉えることが大切です。
そして、『私はこうだ』と自信を持って言える自分を作ることが、患者さんとの信頼を築く第一歩となります。
その姿勢の変化は、必ず相手に伝わります。
今日から自分の姿勢を見直し、一歩ずつ前進していきましょう。
まとめ
今回のテーマは『自分を知る』、つまり自分の姿勢を見直すことでした。
私たちは日々、新しい文献や医学情報を学ぶことに多くの時間を割いていますが、それと同じくらい、自分自身を知る時間も大切です。
『自分はどんな人間か?』
『自分の強みや弱みは何か?』
『無意識に出している自分の雰囲気はどうか?』
など、自分の内面を見つめ直すことが必要です。
完璧な人はいません。
しかし、だからといって『60点だから仕方ない』と諦めるのではなく、その60点を65点、70点に引き上げるために努力することが重要です。
特に薬剤師として患者さんと接する際には、知識を提供するだけではなく、信頼される存在であることが求められます。
『この人は本気で向き合ってくれる』
『困ったときに相談できる』
と患者さんに思ってもらえる薬剤師こそが、ただの情報提供者ではなく、人間味のある本当の専門職として求められる姿だと私は考えます。
患者さんとの会話がどうも一方通行になっている気がする…