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子ども連れの患者さんにやさしい薬局とは?待合室でできる5つの工夫

薬局の待合室で、小さな子どもがぐずったり、歩き回ったりしている場面ってありませんか?

お母さんは子どもを抱っこしたり、あやしたりしながら順番を待っている。でも、ようやく薬ができたと思ったら、今度は子どもがじっとしてくれず、薬剤師の説明を聞くのもひと苦労……。

私も薬局で働くなかで、そんな光景を何度も見てきました。

お母さん、大変そうだな。何とかしてあげられないかな……

そんなとき、駐車場がある薬局では、車の中で待っていただくなどの対応をしたこともあります。

ただ、いつもそうできるわけではありません。忙しい時間帯には十分な対応ができず、歯がゆい思いをすることもありました。

その一方で、待合室の絵本やおもちゃに夢中になって、楽しそうに過ごしている子どもたちの姿も見てきました。

そんな様子を見ているうちに、ふと思ったんです。

薬局教育部の顔(考える男)

子どもが楽しく過ごせれば、お母さんも少しは楽になるんじゃないかな?

そこで今回は、私自身の現場経験をもとに、子ども連れの患者さんが少しでも過ごしやすくなる薬局づくりについて考えてみたいと思います。

子ども連れの患者さんにとって、薬局の待ち時間は大変

小さな子どもにとって、薬局でじっと待つのは簡単ではありません。最初はおとなしく座っていても、しばらくすると退屈になって歩き回ったり、ぐずったり。

しかも、病院で診察を受けたあとですから、体調が悪かったり、疲れていたりすることもあるでしょう。

そして、大変なのは子どもだけではありません。保護者も、子どもをあやしながら周囲の患者さんに気を遣っています。

私が特に気になっていたのは、そんな状況で服薬指導を受けている場面です。

例えば、小児の粉薬をお渡しするとき。薬剤師としては、薬の飲ませ方や服用回数、注意点などをきちんと説明したいですよね。

ところが、説明の途中で子どもが歩き出したら、保護者は子どもを気にしながら話を聞かなければなりません。

私自身も、説明の順番を変えたり、子どもが落ち着くまで少し待ったりと、状況に応じて対応してきました。

特に、小児の薬では用量や飲ませ方を保護者と確認することが重要です。実際の説明内容は処方内容や患者さんの状況に合わせて判断します。

待合室の環境づくりは、単なるサービスではなく、服薬指導にも関わるテーマなんですよね。

子ども連れの患者さんが過ごしやすい薬局づくり|5つの工夫

では、子ども連れの患者さんが少しでも快適に過ごせるように、薬局ではどんなことができるでしょうか?

特別な設備がなくても、工夫できることはあります。ここでは、薬局で取り組みやすい5つの工夫をご紹介します。

① 待ち時間の目安を伝える

小さな子どもを連れていると、あとどれくらい待つのか分からないだけでも負担になりますよね。

例えば、「お薬の準備に、あと15分ほどかかる見込みです」と伝えるだけでも、保護者は待ち時間の過ごし方を考えやすくなります。

もちろん、調剤状況によって時間が変わることもあるので、あくまで目安としてお伝えすることが大切です。

すでに実践されている薬局も多いと思いますが、こうしたちょっとした声かけも大切にしたいですね。

② 待つ場所の選択肢を増やす

子どもがぐずってしまい、待合室で待つのが難しいこともありますよね。

そんなとき、駐車場がある薬局なら、保護者と一緒に車の中で待っていただくのも一つの方法です。

お薬ができたら携帯電話でお知らせすれば、待合室にずっといる必要はありません。

薬局の設備や患者さんの状況に合わせて、安心して待てる方法を考えてみたいですね。

③ 子どもの目線で待合室の安全性を確認する

皆さんは、自分の薬局の待合室を子どもの目線で見たことがありますか?

大人にとっては何でもない場所でも、小さな子どもにとっては危険なことがあります。

例えば、出入口の自動ドア、倒れやすい備品、通路をふさいでいる荷物など。ベビーカーを置くスペースが十分にあるかも確認したいところです。

まずは、子どもが安全に過ごせる待合室になっているか。そんな視点で、一度薬局の中を見渡してみるのもよいと思います。

④ 子どもが楽しめるものを用意する

待合室に絵本やおもちゃがあると、子どもが退屈せずに過ごせることもあります。

私も、絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりしながら、楽しそうに待っている子どもたちを見てきました。

子どもが何かに夢中になっていると、保護者も少し気持ちに余裕ができるかもしれませんね。

もちろん、すべての子どもが興味を持つわけではありませんし、体調が悪くて遊べないこともあります。

無理に遊ばせるのではなく、興味を持った子どもが自然に楽しめるものを用意しておく。そんな考え方がよいのではないでしょうか。

なお、共用の絵本やおもちゃを置く場合は、感染対策や清掃・管理の方法も考えておく必要があります。

⑤ 保護者が落ち着いて服薬指導を受けられる場所をつくる

子どもが歩き回ったり、ぐずったりしていると、保護者はどうしても子どものことが気になってしまいますよね。

そんなとき、服薬指導を受ける場所にも少し工夫ができるかもしれません。

例えば、ベビーカーをそばに置けるスペースを確保したり、子どもの様子を見守りやすい位置で説明を受けてもらったり。

薬局の構造によっては難しい場合もありますが、投薬カウンター周辺の配置を見直すだけでも、改善できることがあると思います。

大切なのは、保護者が子どもの安全を気にかけながらも、落ち着いて薬剤師の説明を聞ける環境を整えること。

こうした配慮も、子ども連れの患者さんにやさしい薬局づくりにつながるのではないでしょうか。

絵本とWebゲームという新しい選択肢

ここまで、薬局でできる工夫を5つ紹介してきました。

そのなかでも、私が最近特に可能性を感じているのが、先ほど④で紹介した「子どもが楽しめるものを用意する」という工夫です。

具体的には、絵本とWebゲームを組み合わせた活用方法です。

絵本だけでなく、ゲームでも遊べたら?

絵本のよいところは、子どもが自分のペースで楽しめることですよね。

まだ文字が読めなくても、絵を眺めたり、保護者と一緒に読んだり。待ち時間を楽しく過ごすきっかけにもなります。

では、絵本を読んだあとに、その物語の世界をスマートフォンのゲームでも楽しめたらどうでしょうか?

実は私自身、子ども向けの絵本『まけても だいじょうぶ』と、その物語に連動したWebゲーム『もういっかい!かけっこ』を制作しました。

まけてもだいじょうぶ(絵本)

絵本の巻末にはQRコードがあり、絵本の中にある「ひみつのことば」を入力すると、Webゲームで遊べる仕組みです。

ゲーム画面(もういっかい!かけっこ)

保護者のスマートフォンを使えば、薬局側で専用のゲーム機やタブレットを用意する必要もありません。

もちろん、絵本だけでも楽しめます。

薬局の待合室でも活用できるかもしれない

この絵本とWebゲームが完成したとき、ふと薬局で働いていたときのことを思い出したんです。

薬局教育部の顔(考える男)

これ、薬局の待合室でも使えるんじゃないかな?

子どもが絵本を読んだり、ゲームで遊んだりしながら楽しく待つことができれば、保護者も少しは落ち着いて過ごせるかもしれません。

そうすれば、薬剤師の説明も、今より余裕を持って聞いてもらえるんじゃないかなと思ったんです。

もちろん、まだ実際に薬局や医院で試したわけではないので、どれくらい役立つかは分かりません。

また、スマートフォンを使いたくない保護者もいるでしょうし、子どもによっては絵本だけで十分楽しめる場合もあります。

だからこそ、無理にゲームをすすめるのではなく、子どもや保護者が自由に選べる楽しみ方の一つとして活用できたらいいなと思っています。

絵本やWebゲームについて詳しく知りたい方は、あそべるえほんランド公式サイトをご覧ください。

>>あそべるえほんランド

絵本やWebゲームを導入するときに注意したいこと

絵本やWebゲームを薬局の待合室に取り入れるなら、気をつけておきたいこともあります。

特に大切なのが、衛生管理とスタッフの負担を増やさないことです。

衛生管理と安全性への配慮

絵本やおもちゃは、いろいろな子どもが手に取るものですよね。そのため、感染対策を考えずに置くわけにはいきません。

実際、厚生労働省の薬局向け感染対策研修資料でも、待合室の書籍や遊具について、使用を控えるか、使用後に消毒などを行うことが示されています。

出典:厚生労働省「感染症対応に係る薬局の研修について」内の研修資材「2.洗浄・消毒・滅菌」148ページ

紙の絵本は消毒が難しい場合もあるので、薬局の感染対策方針に合わせて、置くかどうかを判断する必要があります。

また、小さなおもちゃの誤飲や転倒、通路をふさいでしまうことなど、安全面にも気を配りたいですね。

スタッフの負担を増やさない

もう一つ考えておきたいのが、スタッフの負担です。

例えば、子どもが遊ぶたびにスタッフがゲームの使い方を説明しなければならないとしたら、忙しい薬局ではなかなか続けられませんよね。

できれば、子どもが興味を持ったときに、保護者と一緒に自然に楽しめる仕組みが理想です。

Webゲームの場合は、音が周囲の迷惑にならないか、薬の呼び出しや服薬指導の妨げにならないかにも注意したいところです。

まずは無理のない範囲で試してみる

最初から大がかりに導入する必要はありません。

感染対策や安全面で問題がなければ、まずは絵本を少数置くところから始めてもよいと思います。

そして、実際に使ってみてどうだったか、スタッフ同士で振り返ってみる。

例えば、

・子どもたちは興味を持ってくれたかな?
・保護者は落ち着いて過ごせていたかな?
・清掃や管理に無理はなかったかな?

こうしたことを確認しながら、続けるか、改善するかを考えていけばよいと思います。

大切なのは、絵本やゲームを置くこと自体を目的にしないこと。

子どもや保護者が少しでも過ごしやすくなり、スタッフにも無理なく続けられることが一番ですよね。

最後に|明日からできること

薬局で働いていると、どうしても調剤業務や服薬指導など、カウンターの内側から物事を考えてしまいがちです。

でも、待合室に座って患者さんの立場から周りを見てみると、今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれません。

私自身、子どもをあやしながら困っているお母さんを見て、何とかしてあげたいと思った経験があります。

だからこそ、子どもが楽しく待てる方法には、まだまだ工夫の余地があるんじゃないかなと思っています。

もちろん、絵本やWebゲームを置けば、すべて解決するわけではありません。

でも、待ち時間の伝え方を変えたり、声かけを工夫したり、待合室の安全性を見直したり。そんな小さなことからでも始められますよね。

そこで、明日の朝礼やミーティングで、スタッフに一つだけ聞いてみてはいかがでしょうか。

薬局教育部の顔(笑った女)

最近、子ども連れの患者さんが困っていた場面ってあった?

まずは、その場面を一つ共有する。

そして、「うちの薬局で何かできることはないかな?」と話し合ってみる。それだけでも、立派な改善の第一歩だと思います。

「この患者さん、今どんなことで困っているんだろう?」そんな視点を、薬局全体で大切にしていきたいですね。