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薬剤師の職能拡大②|心理カウンセリングで患者さんと信頼関係構築

薬剤師の職能拡大シリーズの第2回目。

今回は『薬剤師の心理カウンセリング研修』をテーマにお届けします。

年配の患者さんとのコミュニケーションのとり方が難しい…

他職種とのコミュニケーションのとることに抵抗がある…

こんなふうに、患者さん・薬局内・他職種とのコミュニケーションに悩んだことはありませんか?

最近は薬剤師の仕事も、対物業務から対人業務へシフトしてきていますよね。

『かかりつけ薬剤師』として患者さんと向き合うには、コミュニケーション力が欠かせないって分かってはいるけど、実際どうしたらいいのか分からない…。

そう感じている薬剤師さん、多いと思います。

そこで今回の記事では、私が社内での創設に関わってきた薬剤師向けの心理カウンセリング研修についてお話しします。

この研修、まさに『真のかかりつけ薬剤師』になっていくためのエッセンスが詰まっています。

この記事では、心理カウンセリングの基本知識や研修の重要性、実際の業務でどう活かせるか、さらには今後の薬剤師教育の可能性についても解説します。

患者さんとの信頼関係を築きたい、薬剤師としてもっと成長したいと思っているなら、ぜひ最後まで読んでみてください。

きっと次の一歩を踏み出すヒントが見つかるはずです。

心理カウンセリング研修導入のきっかけ

薬剤師の心理カウンセリング研修導入に至ったきっかけは2つあります。

まず1つ目は、アメリカの大手ドラッグストアチェーンのウォルグリーンで薬局長にインタビューしたときのことです。

そのとき驚いたのが、患者さんが信頼している薬剤師が転勤すると、なんと患者さん自身もその薬剤師を追いかけて引っ越してしまうという事実でした。

詳しい内容は、下記の記事で紹介しているのでチェックしてみてください。

このエピソードをきっかけに、薬剤師と患者さんの信頼関係の大切さを改めて考えるようになり、今回の研修を導入する流れにつながりました。

信頼関係の力って本当にすごいですよね。

そして、2つ目のきっかけは、シアトルにあるワシントン州立大学の教授へのインタビューでした。

詳しい内容は下記の記事で紹介していますが、ここでも衝撃を受けた事実がありました。

上記の記事でも紹介した通り、アメリカでは薬剤師が『国民から最も信頼される職業』に長年選ばれているんです。

これってすごいことですよね!

で、その背景を調べてみたら、患者さんとの信頼関係を築くスキル、特に心理カウンセリングが重要な役割を果たしていることがわかりました。

さらにびっくりしたのが、アメリカの大学では心理カウンセリングの授業がカリキュラムに組み込まれているんです。

これが患者さんとの強い絆や信頼感につながっているんだなって、ものすごく納得しました。

『じゃあ、日本の薬剤師もアメリカみたいにもっと信頼される存在になれるんじゃない?』って思ったんですね。

そのためには、やっぱり心理カウンセリングのスキルがカギになるなって感じました。

アメリカでは薬剤師が心理カウンセリングを学ぶことで、医療提供と心理カウンセリングのスキルで患者さんとの信頼関係を深め、それが『最も信頼される職業』に選ばれる理由のひとつになっているわけですよね。

日本でも同じように、このスキルを教育に取り入れたら、もっと患者さんとの絆を深められるんじゃないかなって考えたんです。

そう思ったのが、心理カウンセリング研修をスタートさせたきっかけでした。

心理カウンセリング研修導入の目的と理由

研修を導入するきっかけは、先ほど紹介してきたアメリカでの視察研修でした。

でも、決定的な理由は日本の薬剤師を取り巻く環境の変化にあります。

【理由①】日本の薬剤師の役割の変化

あなたも感じているかもしれませんが、ひと昔と違って薬剤師の業務は大きくシフトしています。

昔は『対物業務』、つまり薬を正確に調剤することが中心でした。

でも今は『対人業務』、つまり患者さんと直接向き合うことが求められています。

その中で特に重要視されているのが『かかりつけ薬剤師』。

自分の患者さんを持ち、継続的に信頼関係を築くことが重要視される時代になってきています。

これまで『かかりつけ薬局』『かかりつけ薬剤師』といった言葉は薬剤師会が推してきたものでしたが、今や国(厚生労働省)も本格的に制度(調剤報酬)として位置付けています。

医療の流れが確実に変わってきています。

【理由②】これからの薬剤師に求められるスキル

こうなると、薬剤師に必要なのは、ただ薬を提供するだけの役割ではありません。

患者さんから信頼される医療従事者としての在り方が求められます。

では、そのために必要なスキルは何か?

それが心理カウンセリングスキルなんです。

『真のかかりつけ薬剤師』になるためには、このスキルが欠かせないと確信しました。

だからこそ、心理カウンセリング研修を導入しました。

心理カウンセリングのスキルを身につけて、薬剤師として地域住民にとって最も身近で信頼される医療従事者を目指したいと考えています。

このスキルを活用することで、患者さんの悩みに寄り添い、信頼関係を深められるだけでなく、地域全体に貢献できる薬剤師へと成長していけるはずです。

薬局がただの『薬を受け取る場所』ではなく、患者さんにとって安心感を与え、健康を支える拠点になる。

そんな未来になれば良いと考えています。

研修の内容

では、具体的にどんな研修をしているのかをご紹介しますね。

薬剤師への心理カウンセリング研修は10年以上実施していますが、現在は、アイディアヒューマンサポートさんの力をお借りして、社内研修を実施しています。

この会社は、オリンピック選手のメンタルトレーナーなども手掛けている、心理カウンセラーのプロ集団。

名実ともに、世界トップクラスのスキルが学べます。

そんなアイディアヒューマンサポートの担当者と一緒に、薬剤師向けの心理カウンセリング研修プログラムをゼロから作り上げました。

概要は下記の通り。

研修概要
  • 研修期間:3年間
  • カリキュラム:全30コマ(1コマ90分)
  • 目標:真のかかりつけ薬剤師になるためのスキル習得

このカリキュラムを作る際には、薬局での業務内容や現場の課題を担当者とじっくり共有しながら進めました。

その結果、かかりつけ薬剤師を目指すための実践的かつ体系的な研修が完成。

これを通じて、薬剤師が心理カウンセリングのスキルを活用し、患者さんとの信頼関係を築く力を育てています。

こうした取り組みを通じて、薬剤師が地域にとって欠かせない存在になる未来を目指しています。

研修実施風景

心理カウンセリング研修を効果的に進めるために、研修の形式にも徹底的にこだわりました。

せっかく世界トップレベルの講師に来ていただけるなら、その内容を全員にしっかり届けたい。

そこで社内担当者たちと何度も議論を重ね、1年目から3年目までの薬剤師を対象とした合同研修形式を採用することにしました。

(現在は感染対策を考慮し、一部合同、一部ZOOMの形式をとっています)

合同研修にした目的
  • 縦のつながりを強化
    横の同期だけでなく、先輩や後輩との縦のつながりも深め、互いに学び合う環境を作るため。
  • リアルな交流の場を提供
    同期や先輩と直接話し合うことで、1年目の薬剤師にとっては目標となる存在との出会いの場を提供。
  • ロールプレイの効果を最大化
    心理カウンセリング研修ではロールプレイが多く含まれます。異なる立場のメンバーと練習することで、現場で活用できるスキルを身につけるため。

心理カウンセリング研修は、参加者同士でロールプレイを重ねながら進める実践的な内容になっています。

そのため、合同研修という形式が適しており、受講者全員が実際の現場を想定しながらスキルを磨けるよう工夫しています。

最初は慣れない研修に受講者の中にも戸惑いが見られましたが、研修が進むにつれて『今までの自分とは違う』と成長を実感する声が多く聞かれるようになりました。

この後、研修受講者の具体的な感想について紹介していきます。

受講者の声

研修を実施した後は、その効果をきちんと測定するために、受講者アンケートを実施しました。

このアンケートでは、受講者からのフィードバックをより深く理解するために、自由記載欄を設けて以下の質問についての意見を募りました。

受講者アンケート
  • 前回の研修で教わったスキルをあなたが実際にどのような場面で使ったかを記入して下さい。
  • あなたが実際にスキルを使ってみて上手くいったことをお聞かせください。

すると、続々と以下のような多くの声が寄せられました。

その中で特に多かったのは、「心理カウンセリング研修が、自分が目指すべき真のかかりつけ薬剤師になるための大きな助けになった」という感想です。

地域の住民にとって、薬剤師は最も身近で信頼できる医療提供者としての役割を果たさなければなりませんが、この研修を受けたことで、その自信がついたという声が多数寄せられました。

研修後に行ったアンケートを見ると、研修がすごく効果的だったんだなと実感しています。

まとめ

薬剤師の職能拡大シリーズの第2回目、『薬剤師の心理カウンセリング研修』をテーマにお届けしました。

これからの薬剤師に求められるのは、患者さんとの心理的信頼関係(ラポール)を築き、真のかかりつけ薬剤師として地域住民に信頼される存在になること。

そのためには、心理カウンセリングのスキルを磨くことが欠かせません。

患者さんの信頼を得るために自分には何ができるだろう?

そんなふうに考えたことがある方は、まずは心理カウンセリングを取り入れたコミュニケーションに挑戦してみてはいかがでしょうか。

このサイトでは、私が採用のインターンシップで行った心理カウンセリング研修の体験版の内容を詳しく紹介しています。

下記の記事を参考に、ぜひコミュニケーションスキルを磨いてみてください。

患者さんとの心理的信頼関係(ラポール)を築くための、確実な一歩になると思います。