「あなたの強みは何ですか?」
「あなたの強みを活かして薬剤師としてのキャリアを積んでいきましょう」
と言われた時に、
「私には特にこれといった強みがない」
「他の人に教えることなんてとてもできない」
そのように思う人が多いのではないでしょうか。
あなたの薬局薬剤師としてのキャリア土台は、あなたの『強み』からスタートします。
あなたの弱みを知り、それを克服することは、薬局薬剤師として無難な人材になることができてたとしても、あなたのキャリアに繋がっていくことはほとんどありません。
あなたの強みに気づき、それを育てていき、薬局薬剤師のキャリアを紡いでいきましょう。
そこで今回は、薬局薬剤師として勤務するあなたの強みの見つけ方や育み方について紹介します。
目次
薬局薬剤師としてのキャリアを見つける前に知っておくこと
薬局薬剤師のキャリア形成と言われてもピンとこない人がほとんどではないでしょうか。
そこでまずは、薬局薬剤師のキャリア形成を行っていく前に、これだけは知っておいた方が良いと思われること紹介しておきます。
会社や薬局が行う研修や勉強会の目的
すいません。いきなりショックなことをお伝えしますが、
あなたの所属している会社や薬局の実施する勉強会や研修に頼っていても、あなたのキャリアはなかなか形成されにくいと思います。
残念ながらあなたの所属する会社や薬局は、あなたの強みを伸ばすことよりも、できていないことをできるようになる(弱い部分を克服する)ための教育(研修)に重点を置いています。
これは仕方がないことで、会社や薬局が利益を上げて存続していくためには、従業員のできていないところをできるように訓練し(研修や勉強会の実施)、従業員のレベルを一定水準に引き上げて組織を安定運営していくことが最重要であるからです。
これは会社が悪いのではなく、経営を行っていくうえで当たり前のことと言えます。
例えばこういった研修です。
- 接遇・マナー研修(社会人としての基礎・マナー・医療人としての心構えなど)
- 調剤実務研修(現場に入った時に正しく早く保健調剤業務を行うため)
- 薬歴研修(個別指導に耐えうる薬歴を早く正しく書く)
- 服薬指導研修(患者さんへの適切な服薬指導の仕方)
- 管理者研修(管理薬剤師としての業務を行えるようになるための様々な業務や心構え)
どこの会社や薬局でも行われているこういった研修のほとんどは、会社や薬局が存続するために、私達のできていないところ(弱み)を一定レベルにまで引き上げるための研修と言っても過言ではありません。
これらの研修の目的は社員全員を一定レベルまで引き上げることが目的で、あなたの将来に向けてのキャリアを伸ばすためのものではありません。
あなたのキャリア形成はあなた自身が発掘し、伸ばしていかなければならないのです。
薬局薬剤師としてのキャリアを形成していくためにはどうすれば良いのか?
では自分のキャリアを発掘し、育てていくためにどうしたら良いのか?
これを薬剤師の皆さんに質問するとほとんどの薬剤師さんは、冒頭で紹介したような若干ネガティブなセリフが返ってきます。
私はこれは日本で受けてきた義務教育の影響を強く受けているからではないかと思っています。
私たちは、小学校から大学までの教育で、100点満点のテストを受け続けてきて、一定水準(テスト問題の合格点)を超えることが重要で、100点に近い点数を取った学生が優秀と評価される環境で長く育ってきました。
先生(テスト)が決めた水準を超えた学生が評価され、そこでの点数が高い学生が偏差値の高い高校や大学に進学することができました。
もちろんこの考え方は社会人になっても一定水準の人材を育成するためには重要です。
しかし入社して3年くらいが経って、保険薬局業務全般が合格水準以上の仕事ができるようになった薬局薬剤師は、次の目標を見失い、多くの方が行き詰まっているのよく見かけます。
保険薬局業務全般ができるようになるという基準がなくなると、次の目標を自分でなかなか見つけることができない状況です。
ここで転職する人が非常に多いのですが、私個人の意見ですが、変えるのは職場ではなく自分自身の考え方と行動の仕方だと考えています。
必要なことは薬局薬剤師としての次のステージが必要なのです。
次のステージは何かというと、あなたの好きな領域、得意な領域となる自分の強みを見つけて伸ばし、その領域でさらに大きく社会貢献することだと思います。
次にその強みの見つけ方について紹介していきます。
薬局薬剤師としての強みを見つける3つの方法
薬局薬剤師として普通に3年以上働いていると、どんな方にも自分の強みに繋がる領域が出てきます。
そこで薬局薬剤師の強みの見つけ方について解説していきます。
所属する組織で上位3位以内に入る強みを見つける
薬局薬剤師としての強みは何かを質問した際に、ほとんどの人が、「特にこれといって自分には強みは無い」と言う人がほとんどです。
それはなぜかというと、私の予想では、「強み」というと、ほとんど薬剤師さんは日本でトップクラスの実力を持つくらいの強みを想像しているじゃないかと思うんですね。
そしてそんな強みは自分にはとても無いと思って尻込みしている人が多いのではないかと思っています。
強みは発掘し、磨きをかけていくものです。
強みの最初の段階は、例えば、学校のクラスで上位3位以内に入るくらいのレベルで十分です。
または、他の薬剤師から「あなた凄いね」と褒められたレベルの領域で十分なんです。
まずは、今までの薬剤師人生の中で、そういった他者と比べてちょっと得意な領域、好きな領域を意識して探してみましょう。
ここからあなたのキャリアがスタートします。
自分の能力を棚卸して整理してみる
今まで薬局薬剤師として働いてきて、多くの患者さんと接してきたり、様々な先輩薬剤師の働き方を見てきて、自分の得意な領域、ちょっと苦手な領域が誰にもあると思います。
そんな自分のスキルに関して一度棚卸をして、下図のように好きと嫌い、得意と苦手の2つの軸で整理してみましょう。
こうすると自分のスキルを4つの領域に分類でき、今後どのように自分のキャリアを育成していくかのヒントが得られます。
それぞれ4つの領域に対してのアプローチを解説します。
ここの領域はあなたの弱みです。
この領域の克服にはできるだけ時間をかけないことが重要です。
ただ社会人として、全くできないわけにはいけない領域もあるので、合格点レベルにまで自分のスキルを上げる(対処する)ことさえできれば、あとはこの領域が得意な人に頼ると良いでしょう。
ここの領域はあなたの才能です。
才能はあるけれども、あなたの嫌いな領域なので、長く続けていくとどこかのタイミングで疲弊し辛くなってきてストレスを抱えながら仕事をしていくことになるでしょう。
ここの領域は他者と差別化するための自分の恵まれたスキルと割り切って、あまり時間をかけない方が良いでしょう。
ここはあなたの潜在する強みの領域なので積極的に取り組んでいきましょう。
今はそれほど得意でなくても、この領域のスキルを伸ばし続けていくうちに得意になり、他者と差別化できるあなたの強みになっていきます。
ここは間違いなくあなたの強みです。
この領域が見つかったら、あなたの今後の時間の多くをこの領域のスキルを伸ばすことに使っていくことをお勧めします。
まずはこんな感じで、あなたのスキルを棚卸して整理してみましょう。
そうすることで、今後のあなたのキャリア形成を行なっていく上で、どの領域を伸ばすことに時間を使っていけば良いかのヒントが得られると思います。
実際にリサーチしてみる
先ほど紹介した4つのマトリックスで自分の強みを発掘してみたが、なかなか自分の強みが見つからない人には実際にリサーチしてみるのも有効です。
リサーチと言ってもそんなにお金がかからず、下図の書籍を購入すれば、たった2420円で調べることができます。
この書籍についているWEBテストは自分の強みを見える化するツールで、全世界で3000万人の人が自分の強みを知るために利用しています。
この書籍を購入すれば、WEBテストのシリアルナンバーがついてきて、34の資質の中から上位5つのあなたの強み(資質)を簡単に分析することができます。
アレンジ/運命思考/回復志向/学習欲/活発性/共感性/競争性/規律性/原点思考/公平性/個別化/コミュニケーション/最上志向/自我/自己確信/社交性/収集心/指令性/慎重さ/信念/親密性/成長促進/責任感/戦略性/達成欲/着想/調和性/適応性/内省/分析思考/包含/ポジティブ/未来志向/目標志向
中古本を購入すると、すでにそのシリアルナンバーが使用されている場合がほとんどなので、購入する際には中古本ではなく必ず新書本をご購入ください。
自分の強みが見える化できると、今後の自分のキャリア形成を発掘していく上でも大いに役立つので、将来の自分のキャリアへの投資と思い、購入しWEBテストを受けてみると良いでしょう。
言葉にできない自分の強みをきちんと言語化してもらえるので、すごく参考になりますよ。
救世主的発想で自分のスキルでどんな問題解決ができるか考える
そして自分の強みが見つかったらここからが重要です。
自分が強みも独りよがりではなく、社会に貢献、誰かの役に立てるようになって初めて薬局薬剤師としてのキャリアにつながっていきます。
そこで自分の強みをどのように薬局薬剤師のキャリアに変えていくかを解説していきます。
情報発信のターゲットを設定する
一言で言うと、情報発信のターゲットはその分野の初心者に設定しましょう。
例えば、私は薬剤師独自の視点での生活習慣病予防の食事・栄養療法について大学やラジオなどで講義をしてきましたが、対象は薬学生や一般市民相手に講義を行っています。
相手が大学教授などの専門家に対しては私の強みはとても敵わないので、情報発信のターゲットを誰にするかを選択するだけですぐにその分野での専門家になれるのです。
薬剤師である時点で、一般市民からすれば専門家です。
自分の得意で好きな領域なら、あなたはターゲットを薬剤師になりたての人や薬学生や一般市民などの初心者にすることですぐにその分野の専門家になれます。
情報発信する際には、その分野の初心者に向けてあなたの強みを発信していきましょう。
問題をどのように解決するかを提示する
そしてただ専門知識を発信するだけではキャリアに繋がっていきません。
あなたの持っている専門知識を問題を抱えている人のどういった問題を解決するのに役立つかを明確に示していきましょう。
つまり知識を知恵に変換する必要があります。
例えば私は、薬剤師独自の視点で生活習慣病の食事・栄養療法について大学での特別講義や一般市民向けにお話をする機会があるのですが、こんな感じで問題に対しての解決策を提示し、お話をしています。
あまりたくさんの解決策を並べずに3つくらいにポイントを絞って紹介し、現場ですぐに使えるように意識し、最後にはこんな感じで具体的な声かけのセリフなども提示しています。
大学教授などの専門家に対してならこんなレベルの話は簡単ですが、対象が初心者ならこういった情報を3つくらいにまとめてきちんと整理して伝えてあげると非常に好評で喜んでいただけます。
あなたの専門知識をどういった問題を解決するのに役立てるかを考えて、このように初心者をターゲットにして解決策を提示する。
そうすることで、あなたの専門知識が知恵となり、あなたのキャリアを育んでいくことに繋がっていきます。
実際に情報を発信していく
そしてあなたの持っている知恵を情報として発信していく必要があります。
では具体的にどういった形で情報発信していくか?
ここが問題ですね。
私の場合は、母親ががんを患って栄養の勉強を始めて、その後、社内で勉強会や研修の講師などをしているうちに、次第に社内から社外に徐々に口コミが広まっていき、ラジオや大学での特別講義を行うまでになりました。
私はたまたま運が良かっただけですが、現実はなかなかそんなにうまく行かないと思っています。
そこでお勧めなのが、私のサイトを今まさにあなたが閲覧しているように、あなたもあなた自身のWEBサイトを作成し、あなたのターゲットの方に情報を発信して読んでいただく方法が一番だと思います。
あなたのWEBサイトが充実してくれば、ターゲットの初心者の方だけでなく、ラジオや大学や市民講座など様々な専門機関からあなたへ講義の依頼も来るようになったりもします。
このサイト内の記事でWEBを使った情報発信の仕方についても紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
まとめ
薬局薬剤師のキャリア形成について、強みの見つけ方から具体的な情報発信の仕方について紹介してきました。
あなたの薬局薬剤師としてのキャリア形成は、あなたの所属している薬局や会社の力だけでは、なかなか育まれていきません。
あなたの薬局薬剤師のキャリアはあなた自身で発掘し、磨きをかけてきましょう。
そのサイトでは、薬局薬剤師のキャリア形成についてや、薬局の教育・研修に関わる情報を幅広く公開していますので参考にしてみてください。
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