前回に引き続き、今回はシリーズの2回目です。
今回は、『信頼関係構築のコミュニケーション』を行なっていくうえでの5つの受容的態度について紹介していきます。
前回の復習
あの人は話しやすい…
あの人は信頼できる…
あの人と話していると安心感がある…
こんな感じで、前回は、相手と心理的信頼関係を構築するためのコミュニケーションスキルが上手な人について紹介してきました。
そして、こういったコミュニケーションスキルは、コミュニケーションのプロである心理カウンセラーから学んでいこうというお話もしてきました。
心理カウンセラーが実際に学んでいる心理的信頼関係を構築するためのコミュニケーションのスキルは下記の通りです。
そこで今回は、心理的信頼関係構築のためのコミュニケーションスキルの『受容的態度』について詳しく紹介していきます。
5つの受容的態度
心理的信頼関係を構築するうえで、受容的態度は非常に重要です。
前回も紹介してきましたが、受容的態度とは、相手の意見や感情を尊重し、批判や否定をせずに、あるがままに受け入れる態度のこと。
受容的態度を相手に開示することにより、相手は安心して自分を開示しやすくなり、あなたに心を開いてくれるようになり、信頼関係を築きやすくなります。
受容的態度について、具体的に5つ紹介していきます。
表情
薬局で勤務する薬剤師を見ていると、忙しさのため、あるいは真剣に話すあまり、服薬指導する際に顔が怖くなっている人が少なくありません。
一方、服薬指導に自信がないのか、曇った顔で服薬指導をしていて、患者さんに不安にさせてしまっているなと感じる場面もあります。
表情は言葉以上に感情を相手に伝える強力な手段です。
笑顔は相手に喜びや親しみを、曇った顔は相手に不安を、しかめっ面は相手に怒りを与えてしまいます。
結論から申しますと、受容的態度としての表情は、『優しく微笑む表情』で相手と接するようにしましょう。
笑顔は最も基本的な受容的態度です。
自然な笑顔は相手に安心感を与え、親しみやすさを感じさせます。
ただし、普段から笑顔に慣れていない方が無理に笑顔を作ろうとすると、引きつった顔になり逆効果になることがあります。
そこで、テレビなどでも良く紹介されている自然な笑顔の作り方を鍛えるウンパニ体操を紹介します。
ウンパニ体操
ウンパニ体操とは表情筋を鍛える体操で、その結果、顔の表情を豊かにしてコミュニケーション能力の向上を図ることを目的とした体操です。
具体的には『ウ・ン・パ・ニ』の順で、表情を作りながら発声することで、自然な笑顔や表情を作り出すエクササイズです。
表情の作り方と発声の仕方は下記の通り。
- ウ…目を大きく見開いて、口を尖らせて『ウ〜』と発声する
- ン…目を閉じて、口角を上げて口を閉じて『ン〜』と発声する
- パ…目と口を大きく開いて『パ〜』と発声する
- ニ…最後に『ニ』と発声した時に優しい自然な笑顔になる
このように顔の筋肉を動かすことで表情筋が鍛えられ、表情が豊かになります。
また表情筋を動かすことにより、顔の緊張がほぐれるので、コミュニケーションをとっていくうえでリラックスした自然な笑顔が出しやすくなります。
YouTubeでウンパニ体操の動画があったので、貼り付けておきますので参考にしてみて下さい。
こんな感じで、受容的態度の一番の基本である『表情』について、優しく微笑む表情作りを意識して行っていきましょう。
視線
次に視線に関しては『アイコンタクト』が原則です。
相手の目を見て話を聴くということは、相手に対して『私はあなたの話をしっかりと聴いていますよ』という無言のメッセージになります。
例えば、服薬指導で患者さんの話を聴いているとき、自分の質問をするときに上を向いて視線をそらしてしまいがちですが、
これはいけません。
相手に注目している姿勢を崩さずに相手の話を聴いていると、相手のちょっとした所作も感じることができるので、そういった意味でもアイコンタクトは重要です。
ただ、ずっと見つめていると逆に相手にプレッシャーを与えてしまう可能性もあるので、適度に視線を外すことも大切です。
声
声に関しては、主に下記の3つについて留意しておくと良いでしょう。
- 声のトーン
- 声の音量
- 声の抑揚
声のトーン
声のトーンは、優しく落ち着いたトーンで話すようにしましょう。
優しい声のトーンは、相手に対して理解と共感を示すことができ、落ち着いたトーンは、緊張感を和らげて相手に安心感を与えることができます。
声の音量
大きすぎる声は相手に威圧感を与えがちになり、一方、小さすぎる声はこちらの自信の無さを相手に与えてしまうかもしれません。
適切な音量で話すことで、相手に安心感を与え、結果として自分の意図を明確に伝えることができます。
また、周りの環境に応じて声の大きさを調整することも大切ですね。
声の抑揚
相手の話している内容や状況に応じて、あなたが反応する際には、声に抑揚をつけて感情を声に反映させることが重要です。
例えば、喜びを表現する時には明るく高いトーンで話し、悲しみを表現する時には少し低めの落ち着いたトーンで話すと良いでしょう。
そうすることで相手から受け取った感情をきちんと受け止めて相手に返すことができ、受容的な態度の準備が整います。
話し方
話し方は、基本は相手の話すペースに合わせていきますが、ゆっくりと話すようにしましょう。
機関銃のように話すスピードが速い人などの場合は、最初は相手のペースに合わせていきますが、徐々にこちらのペースに合わせてゆっくりと話すようにすると良いでしょう。
姿勢
そして最後の5つ目は、話を聴くときの姿勢です。
受容的態度に必要な姿勢のポイントは下記の3つです。
- 90度で向き合う
- 少し前傾の姿勢
- 椅子には浅めに腰掛ける
90度で向き合う
相手の話を聴くときにはアイコンタクトが重要となっていたので、真正面に向き合うのが良いかと思われがちです。
しかし、真正面だと相手が心理的に圧迫感を感じることがあります。
90度の角度は、真正面での圧迫感を軽減しつつも、親近感を保つにも適した位置関係で、相手にリラックスした環境を提供します。
これにより、相手が自由に話しやすくなります。
少し前傾の姿勢
姿勢を少し前傾することで、相手の話を積極的に聴こうとしている印象を与えます。
その結果、『私はあなたの話を真剣に聴いていますよ』というメッセージを送る効果があります。
前傾姿勢は、相手に対して『自分は受け入れられている』という印象を与えるのに効果的な姿勢と言えます。
椅子には浅めに腰掛ける
椅子の後ろに寄りかかっているよりも、浅めに腰をかけて前傾姿勢になっている方が、相手に前向きで積極的な印象を与えます。
相手に対して『私はあなたの話に興味があり、積極的に聴こうとしています』という印象を与えることができます。
今回のまとめと次回予告
今回は、薬剤師の信頼関係構築のコミュニケーション②(5つの受容的態度)について紹介してきました。
ぜひここで紹介してきた5つの受容的態度(表情、視線、声、話し方、姿勢)を意識して、相手との話し合いに臨んでみて下さい。
試してみるとお気づきになると思いますが、ここで紹介した5つの受容的態度を変えるみるだけでも、あなたのコミュニケーションの効果が劇的に向上します。
次回は、信頼関係構築のコミュニケーションの7つの傾聴のスキルについて紹介していきます。
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